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地下鉄で羽虫を取る変な男

地下鉄のシートに腰掛けて半ばうとうとしていた僕の顔面に、全長2cmほどの羽虫がまっすぐに飛んできた。
反射的によけたが、僕はそれほど虫に恐怖感はないので、平静である。
羽虫はすぐさまユーターンしたかと思うと、僕の正面に座っていた制服姿の女子高生のカバンに着地。

女子高生は、見るのも嫌という風情で、自分の膝の上に乗っているかばんの向こう側をおそるおそる覗き見、15cmもはなれたところでしきりに「しっしっ」とジェスチャをする。
一方の羽虫は、ここは安全地帯と見切ったのかどうか、シカトを決め込む。

僕はまるまる一駅分、その様子をぼうっと観察していた。そんなに嫌なものかなあ?なんて思いながら。

彼女はついに一大決心をしたらしく、勢いに身を任せて羽虫まで5cmの距離まで手を近づけ、渾身の一球とばかりにスナップを利かせて「あっちへいけ」のジェスチャをした。瞬間、羽虫はふわりと浮き上がったが、あろうことか彼女のカバンに可愛らしくぶら下がっているドナルドダックの眼球に不時着。

これはちょっとしたグロテスクな光景だ。映画のカバーにこんなのがあったような。などと思う間もなく、彼女は静かなパニックに陥り、今にも泣き出しそうな表情に変わった。

やれやれ。

僕は音もなく彼女のほうへ二歩進み、指先で羽虫をつまみ、二歩後退し、もとのシートに腰掛けた。
なんてことはない。燐粉すらないのだ。素手で無問題である。

それから丸々一駅分、僕は指先の羽虫をじっくりと観察し、電車が止まるとそいつをドアの外へ放した。彼女はその次の駅で降りた。

その後彼女が友人に語る話の中で、僕がヒーローになってるかキモイ男になっているかはちょっと興味があるが、まあ、8割方キモい方だろう。観察がまずかったな。反省している。

東京メトロで思わずにやけてしまった件

桜田門このひらがな表記、ちょっと可愛いよね。

クリーニング道

4日前、近所のクリーニング屋にシャツ2枚とセータ1枚を出した。ピンクのセータは胸の辺りに目立つシミがあって、「染み抜きは後払いになります」とのことだった。

今日はその引取り。シミは綺麗に消えていた。以下はクリーニング屋の発言の抜粋。

「ええ、ほとんど消えているんですがね、この、肩の辺りとかルーペで見るとまだいくつか残ってるんですよ」
「方法はいくらでもあるんですが、ピンクなのが難しくてね。」
「もっとうまく出来るように頑張りますので、今日のところはこれでご勘弁ください。」
「あ、代金は結構です。」

プロを通り越して求道者の心意気を感じる一幕であった。
全日本クリーニングコンテストとかあるんだろうか。

小学生15人に手品をしてきた

実家がマンションなのだが、そこの「6年生を送る会」という極めてローカルなイヴェントで、手品をすることに。
(JCMA行きたかったのだけれど、たまには親孝行。)

小学生、1年生から6年生までほぼ満遍なく合計15人ほど。
持ち時間1時間。

通常、マジックショーは長くても30分である。それ以上は見る側だって続かない。
そこで、科学系のマジックをいくつか演じながら、ついでに理科の講義をしよう、と計画した。

ちょうど数ヶ月前に、文系の友人に科学の講義をするという目的で、総量5時間分程度のレジュメを用意してあった。「五感と物理法則」「相対論と量子論」「数学的思考」「記憶と言語」「計算機科学概論」の5テーマ各1時間ずつである。小学生相手だと、前提となる知識量の差から、4倍から5倍の説明時間が必要と思われる。レジュメをしばらく眺めた後、「五感と物理法則」の中の、視覚と振動の話を選択した。固有振動を利用した念力の手品があるので、それを実演して見せ、そこから、電波の話、色の話に至れば面白いかなと。

まあそんな風に頭の中でイメージをして本番を迎えたわけだが、最初の15分ほどで計画は挫折。
振動のマジックが「他のもちょっと揺れてるじゃん」と突っ込まれ、その後いろいろと講義をしてみたもののどこまで理解してもらってるのか反応がなくなってしまった。

仕方なく普通の手品を2つほど見せて空気を作り直し。
その後は参加者に質問をさせて僕が答えるという一問一答形式にした。
10分おきくらいに適当に手品を挟む。講義の内容とはまったく関係ない。

その後は心地よく時間が過ぎてゆき、1時間はあっという間に終わった。
15人1時間程度なら一人でなんとかなる、という軽い自信を得るには至ったが、それにしても構成の出鱈目加減には自分でも頭が痛い。

もっとこう、構成のきちんとした演技をしたい。ラーメンズとか三谷幸喜とか好きなわけだし。

8月の大きな本番に向けて、準備を進めよう。

ラーメンズ「TEXT」

友人(てかYuya)がかなり良い席を引き当ててくれた。生舞台は2年ぶりの2回目。前回は本多劇場でStudyを見た。

舞台の上の彼らはずいぶん大きく見えた。ちなみに、いつも家の100インチの画面で見る二人は、だいたい身長は140cmくらい。

彼らの舞台はカテゴライズするとすればコントだが、それはコントと呼ぶにはあまりにも壮大で、緻密で、悔しいほど羨ましいほど。

ユニークuniqueという単語には、日本では何やら余分なニュアンスが着いて回っている印象があるが、字義通りの意味は「他に類を見ない」である。ユニークさと完成度は一般に相反する。彼らほどユニークかつ完成度が高い舞台が他にいくつあるだろうか。

このごろ友人たちの間では公言して回っているが、僕は30歳までの目標の1つに、「小林賢太郎と友達になる」を掲げたい。彼の圧倒的な才能の前に、今はまだ、自分の平凡さをかみ締めるばかり。何事も成し得ていない。
あと3年。何を身に着け、何を成し得るだろうか。

ラーメンズが好きな方には、が~まるちょば もオススメです。(amazon風)

オートチャージ機能と小遣い帳

Edyのオートチャージ機能を有効にした。
「オートチャージにしたら、いくら使ったか分からなくなっちゃう」とか言われたが、毎回現金で払っているほうがよほど分からない。
オートチャージにすれば、少なくともクレジットカード明細に履歴が残る。

もっとも、1回のチャージは\5000と決まっていて、\5000のカタマリを何回落としたか、という記録しかされないわけだが、コンビニで買うものなんて日々のおやつ程度である。
「日々のおやつ」というカテゴリに月々いくら使ったかが分かればそれで十分。(ちなみに1ヶ月で\5000も使わないけどね。)

PASMO解禁を目前に定期が切れた。
新しモノ好きの僕としては初日から使いたくてうずうずしているので、あと9日くらいガマンしてみようか、とか。
これもオートチャージにしてしまうつもり。そうすると、月々交通費にいくらかかっているかが自動的に記録できることになる。

自在な一輪挿し

twisted rose横浜をゆっくりと見て回ったのは人生で三度目くらいだろうか。Spiral Marketで、変わった一輪挿しを見つけたので即購入。Twistベースというものだが、早速薔薇を飾ってみた。

シンプルな構造だが、アルミをリボンの状態で売っているのは見たことが無いので自作は困難かもしれない。リボンには継ぎ目が見当たらない。太いチューブ状に鋳造してから輪切りにしたのだろう。ささやかだが重要なこだわりと言える。

リボンの部分は自由に形を変えることができる(もう少し柔らかくても良いのだけど)。うまくすれば1輪でも花束でもいけそう。この頃舞台に立たないので花をもらう機会も減ったが、次は野花でも試してみようか。春だしね。

“Songs for a New World” by 劇団光座

僕が一目置いている学生演出家、市川洋二郎氏の新作に、姉がシンセで出演します。
値段の割には良い舞台になると思います。お近くにお住まいの方は是非。

ミュージカル『Songs for a New World』
作詞/作曲:JASON ROBERT BROWN
演出/訳詞:市川 洋二郎

『PARADE』(1999年トニー賞作曲賞受賞)や『THE Last 5 Years』(2002年ドラマ・デスク・アワード作詞・作曲賞受賞)のJASON ROBERT BROWNが鮮烈なブロードウェイ・デビューを果たした作品。
ソンドハイム以来のソングライターと評され、今ブロードウェイで最も注目されている若手作曲家が、人生の様々な岐路に立たされた人間達の心象風景を都会的な音楽で綴るミュージカル・レビュー。

日時:
2007年
3/1(木) 19:00
3/2(金) 13:00★ / 18:00
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マリーアントワネット

有楽町マリオンで。
一般国民から隔離された皇族の話、という点で先日見た「太陽」と同類であるが、受けた印象はまるで違った。
「太陽」に描かれていた昭和天皇は、時に気さくに話したり、植物学に没頭したりといった側面を見せながらも、間違いなく超人的であった。凡人には近寄りがたい空気を常にまとい、一挙手一投足に重みを感じる。(まあ、イッセー尾形の演技が超人的だった、と言い換えればそれまでだが。)
一方でマリーアントワネットは“意外と普通の人”である。莫大な財産と冗長な儀式制度に囲まれた中で、ごく人並みにパーティしたり、舞踏会に出かけたり、気が変わって質素に暮らしてみたり。(まあ、キルスティン・ダンストの演技が人なつっこかった、と言い換えればそれまでだが。)
神として扱われた天皇と、人として扱われた王妃の差だろうか。(本物を見たことは無いので意味の無い推論だが。)

花火とか噴水が登場するので「なぜこの時代に?」と感じたが、それは単に僕の知識のレベルに応じてのことだろうと思う。建築の専門家ならもっと建築に突っ込んだだろうし、文化歴史に精通している人間なら服飾の嘘を事細かに見抜くだろう。そういった専門家は時に、「史実に基づいていないから、ほら、違和感がある」と主張する。僕はそうは思わない。史実に基づく、というのは、違和感を感じない組み合わせの1つに過ぎないのであって、唯一解ではない。
例えば「マリーアントワネット」で用いられていた音楽は明らかに歴史を超越していたが、それでも違和感はさほど感じなかった。心地よくフィットしていた。

それってけっこうおもしろいな、と思った次第。
せっかくなので史実も目を通すと良いと思います。

本仁田山

ほにたさん。
友人の突然の思いつきに便乗して登山。
1224mと聞いてもいまいちピンとこない。どれくらい寒いのか、雪は積もってるのか、道は凍ってるのか。アイゼンを用意したほうが良いのか。持ってないけど。

8:46新宿発のホリデー快速おくたま5号にゆらゆらゆられ、10:22に奥多摩駅に到着。

今回のメンバは5人。
普段はとてもお洒落にデコラティヴなファッションを着こなすお嬢様方が今日みたいな日はいったいどんな格好でやってくるのかと僕も興味があったが、一人は蛇革のスニーカで登場。
ヤッチャッタヨコレ。
まあ天気はとても良いし、今日に限らず今年は暖冬だし、雪道の無い事を祈るばかり。

アスファルトの道を20分ほど歩いた後、山道に入る。
とても初心者用とは思えない急斜面が突然始まった。

30分ほど急斜面を登ったところで、メンバは既に疲れを見せている。
地図を見ると、ルート全体の中で半分から2/3にかけてのあたりに「急坂」と書かれている部分がある。
なるほど、急坂だ。しかし、これがその急坂なら、もう半分登ったってこと?

我々の他に登山者は皆無だった。
山道も、道があるような無いような感じで、途中何度も不安に駆られた。
1時間ほど登ると案内板を発見、胸をなでおろす。同時に、頂上はまだまだ先だという事を知る。

今までも申し分ない急坂と思っていたところに、明らかに段違いの急坂が現れた。ロッククライミングほどではないものの、両手を使わずには登れないほどだ。これが急坂か。ということは、やっと半分ってことか。。。


13:40に登頂。
ゆっくりだったがメンバ全員よく頑張ったと思う。
山の南側からずっと登ってきて、頂上で初めて、山の北側の斜面が視界に入る。
北側は一面の雪。真っ白な粉雪。これはちょっとした感動だった。
ここまでで、すれ違ったのは4人。

昼食。ご丁寧にだし巻き卵とかタコウィンナーとか。まったくもって登山らしくない。
ちなみに僕の用意はレーズンパン、干しあんず、干しいちじく、煎り大豆(節分だからね!)、干し芋。
どうだ登山家っぽいだろう。

14:50下山開始。
雪のせいで、進むべき道が本気で分からなくなった。
日陰なので方角もわからず、地図を見ても現在地もわからず。
道を間違えたら、気づくまで1時間はかかるだろう。それが山道というもの。往復2時間のロス。
下山前に日が落ちることになる。僕以外は誰も懐中電灯を持ってない。夜の寒さに耐えられる装備も無い。「遭難」の2文字が急に現実味を帯びてきた。絶対に間違えるわけにいかない状況だった。
「冬の登山は、夏のうちに一度登ったことのあるコースに限る」と言われている意味がこの時やっと分かった。
1つ道を間違うことが命に関わる。

運の良いことに、少し進んでみると雪の中に踏み固められた道をすぐに発見できた。

お嬢様だっこ16:40公道に出る。
どこかでコースを外れたようだ。これも嬉しい誤算だった。公道に出ていれば、日没後も比較的安全である。
いざとなったらヒッチハイクも出来る。駅まではまだ距離があるが、皆アスファルトを踏んで喜んだ。

17:38鳩ノ巣駅に到着。
日没とほぼ同時だった。
無事でよかった。やれやれ。

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