誰もがもうすぐ呪文を唱え始める

ボイスレコーダの不便なのは、あとから特定の箇所を探すのにとても時間のかかることだ。だから、あとで思い出そうというつもりでもあまりだらだら録音すると、聞き返す労力に負けて結局ゴミになってしまったりする。
ところが、たとえばGoogle Audio Indexingのような技術を利用すると、膨大な量を録音しても、まるでネットで検索するかのようにキーワードで一覧を見て、その前後の文脈を読むことが出来る。
僕の喉元にマイクをとりつけて、24時間録音し続けてしまえば、「あれ、あの時なんて言ったっけ?」なんてときに、そこへ遡って自分の発言を確認することが出来てしまうのだ。

ちょっと、便利だよね。

積極的にメモとして使うなら、例えば、「ハンズに行ったら○○を買う」というようなセリフを、何か思いついたら忘れずに口にするように習慣付けておけば、実際ハンズに行ったときに「ハンズに行ったら」というキーワードで直近の発言を検索することで、漏れなく買い物できてしまうわけだ。

便利だね!

生活のメモ代わりにはそれで良いとして、学習意欲旺盛な諸君はこれではちょっと困ることがある。「ストラディバリウス」という言葉そのものを今知って、あとで思い出したい場合、どうすれば良いだろう?
検索したい言葉自体が思い出せないと、どうにもならない。
こんな風に単語帳的に使うには、例えば、「単語帳、ストラディバリウス」という風に特定のワードを決めておくと良い。そうすれば、「単語帳」で検索すれば望みのものが得られるようになる。
どうせなら、日常使わない特別なキーワードを決めておいたほうが混乱は少ないだろうね。「チョーゴンタ」とか。そうしたら、何か記憶したい言葉に出会うたびに「チョーゴンタ ストラディバリウス」「チョーゴンタ スリジャヤワルダナプラコッテ」などとつぶやくようにすれば、とても簡単に単語帳が出来上がってしまう。どうせならもっと洒落たキーワードが良いと思うけど。

「チョーゴンタ」を使い慣れた頃には、別の検索ワードを自然と使い始めてるだろう。「あとでやる」ことをまとめて思い出すために「ルヤデトア 鞄に印鑑を入れる」「ルヤデトア デジカメのバッテリーを充電」とか、思いついたそのときにつぶやいておけばいい。そんで、家に帰ったら「ルヤデトア」で検索。

ベンリ!!

そうしてふと気づく。あれ、これって、魔法の呪文みたいだよね?

さらに先の妄想はもうだいたい想像つくと思うから端折るけど、キーワードだけでは沢山覚えるのが大変なので体の動きを加えたり、あるいは特別な「杖」を手に持ったときだけ発動するようにしたり、はたまた、今で言う「format c:」みたいな危険なコマンドがついうっかりで発動されないように、わざと少し小難しくしたりして、そうこうするうちに、僕らは近い将来、いつの間にかみんな魔法使いになってるんだ。

「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」-Arthur C. Clarke-

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