“ベルヴィル・ランデブー”

“Belleville Rendez Vous”
独特の雰囲気はなかなか良かった。嫌いではない。
タイトル曲は結構はまる。歌詞も悪くない。
セリフ無しで必要な情報を最小限の表現で伝えてゆく感じはなかなか心地よかった。シャンピオンが自転車を手にするまでの描写とか、もうぎりぎりの細切れだが、成立している。
コメディのセンスは、好きな部類だがもっとあっても良かったような気がする。自動車のタイヤ修理のシーンは秀逸だったなぁ。まずヒントが提示され、なんとなく予想がつくのだが、一番見たい部分を巧妙に隠しながらオチをひっぱる。
多くの人から好評を得たという老三姉妹のステージのシーンは、まあ、普通に見たら楽しいのかもしれないけど、ST○MP(意味無し伏字)を舞台で見たことある人には、別に、ふぅん、って感じだろう。てか、ぜんぜんSTOMP未満だし。アニメーションなのだから、実世界を越えて欲しかった。冒頭のフレッドアステアくらいやってくれなきゃ。

思い返してみると、実は一番最後の「これで終わりだよ」のシーンが、なかなか巧妙だ。シャンピオンのトレーニングになぜ同じ速度で母がついてこれるのかとか、誘拐とか、手榴弾とか、ナンセンスな要素の数々が、実は意外と、ああ、なるほどね、って。

え、まだわからない?じゃあ解説しよう。以下、映画を見た人もしくは見る気のない人向け。

要は、物語全体が、寝たきりの母にシャンピオンが語って聞かせた即興だったってことが最後の最後に明かされるわけです。それ自体はまあよくありがちというか、夢オチの一種なので目新しくないのだけれど、一部のナンセンスに説得力が生まれてくるのが面白い。
つまり、母に語って聞かせていたわけだから、シャンピオンよりも母が主人公になっていて、母の活躍が描かれるのは当然。シャンピオンの過酷なトレーニングを母がずっと後ろから見守っている、なんていうのは、映像化したからあんなにおかしな情景に見えるが、語りとしてはありそうな話で。
あんなにものすごいトレーニングをしたのに本番の成績がまるでダメなのは語り手であるシャンピオンの控えめな性格が反映されているのかもしれないし、それを補うかのようにマフィアの誘拐へと話が脱線してゆく様子も、いかにもその場の思いつきで話しましたっていう雰囲気がよく出ている。
とにかく、普通じゃない大きさの船。誇張表現をするとき、全体のバランスなんて考えない。素直に映像化すると、あんな感じに浮きそうもない異様な船になるってわけ。
蛙の捕獲方法とか、ここぞというシーンで手榴弾が再登場するところとかも、いかにもでしょう?

return top